婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
エド自体が魔力の巡りが悪くなって死んだのだ。どれだけ辛いか一番わかっているだろう。エドは周りに注意しながら、話を続ける。
「兄に頼んで騎士団をここに送り込むよう伝えた。俺の魔力を感知できるようにしたから、もうすぐ到着するだろう」
騎士団がここに来る。そう聞いただけで心の底からホッとして、力が抜ける。
「それに陛下達の守りも大丈夫だ。万が一のために魔術師も近くで待機させている。国境の防衛も伝達したし、一応マリス王国にも使者を送ったよ」
エドはあの時言った決意どおり、王族として国を守ろうと頑張っていた。私もなんとかエドを守れたようで、安心する。2人で抱き合っているとエドは木の陰からそっと顔を出し、ジーク王子の様子を伺った。
「……捕まえてくる」
そう言ってエドは私を残して、ジーク王子のもとに歩いていく。あと少しで王子のもとに着くのが見えた瞬間、王子は体を起こし私の方へ魔術攻撃を放ってきた。
「きゃあ!」
魔術攻撃の光は、私のすぐ横の木に当たった。まだコントロールはできてないみたいだ。それでもこんなに動けるくらい、回復しているなんて。まだ魔力を入れなくては! そう思ってジーク王子のもとに行こうと、立ち上がった。
「ぐわあああ!」
叫び声に驚き振り向くと、エドがジーク王子の体に手を当て魔力を流していた。魔法陣がいっそう光り始め、ジークが再び苦しみ始める。
「エド!」