婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
もう言葉を話すのも苦しい。それはエドも同じで顔は真っ青で、今にも倒れそうだ。ジーク王子も、もう抵抗ができず、ゆっくりと瞼を閉じた。
ジーク王子の体は、魔力持ちと同じ状態になっていたのだろう。キラキラと体が光り始める。その光は一瞬大きく光り、やがて1つになって空に登っていった。私達はその光景を、呆然と見ていた。
「終わった……」
私は緊張から解き放たれたことで、ガクリと力が抜けその場に倒れる。もう魔力はほとんど残っていない。今息をしているぶんだけだ。もうそろそろ尽きるだろう。それでも私達は国を守れた。2人でほったらかしにしてしまった責任を、今回はまっとうできた満足感はあった。
「サラ……」
目がかすんで見えないけど、横にはエドがいた。エドの苦しそうな息遣いが、あの日のエドを思い出させて辛くなる。私、エドを救えなかった。幸せにもできなかった。体の苦しさより、その事が私の胸を苦しめる。
「はあ……次はもう僕は……君と結ばれるまで、記憶を思いだすのはつらいな……30年は、長かった……また今回もダメだった……次はもう僕には、苦しいかもしれない……」