婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される


「おまえどうしたんだ!? なんでそんなに泣いてんだよ?」
「わからない。わからないけど、ようやくサラと結ばれるんだと思うと、涙が出てくるんだ」



 娘のことをそんなに大切に想ってくれるなんてものすごく嬉しいが、紆余曲折あったわけじゃないのにそんなに感極まるものか? エドワードの親父と顔を見合わせて驚いていると、苦笑気味の呆れた声が後ろからした。



「私達10歳から婚約してるようなものだったけど、そんなに不安だった?」



 振り返るとウェディングドレスを着た世界一美しいサラが笑顔で立っている。サラはそのまま俺達に見せびらかすように両手を広げ、「どう?」とポーズを取った。



「サラ! なんて綺麗なんだ! さすが俺の娘だ!」
「サラちゃん! 本当に美しいよ!」


 同意を求めるようにエドワードの方を振り返ると、顔を真っ赤にしてうっとりと娘を見つめている。


「本当に、世界一綺麗だ」
「ふふ。みんなありがとう! それにしてもエドは大丈夫?」
「今朝は何も思わなかったのだけど、教会に着いたら勝手に涙が出てきて……」


 泣いてるのが気まずかったのだろう。照れくさそうにしている。
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