婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
「ふふ。変なエド」
「俺のことは別にいいよ。それより今日は本当に特別綺麗で他の男に見せたくない」
「あなたもすごくかっこいい! 私はみんなにあなたを自慢したい!」
2人は手を取り合いおでこをくっつけ、今にもキスしそうな距離でクスクス笑っている。
おおい! ここに父親いるけど、目に入っていないのか〜と言いたいところだが、2人はいつもこんな感じだから今さらだな。エドワードも落ち着いたようで、良かった。
「ほらほら、もうみんな集まってるから始めるわよ」
「サラちゃん、また後でね」
妻たちもにこやかに教会に入っていく。
「エド、私に見惚れないでよ!」
「今日は見惚れるよ……」
こんな甘い会話をこれから毎日聞かされるのかと思うと、なんだか気恥ずかしい。 まあ新婚だから大目に見てやろうと思いたいが、この2人なら俺の歳になってもずっと言ってそうだ。エドワードも教会の中に入り、2人だけになった。
「さあ、そろそろだな」
「うん。父さん今までありがとう。これからもずっと側にいるから、よろしくね」
「お前を嫁に出す時は泣いたり寂しくなると思っていたが、にぎやかになって父さん嬉しいよ」
「泣いたのはエドだったね!」
「はは! そうだな」
サラが俺の腕にそっと手をかける。オルガンの音が聞こえ始め、扉が開く気配がする。その時ふと娘が何かをつぶやいた。