婚約破棄寸前の令嬢は、死んだ後に呼び戻される
エドは涙を流しながら、それでも半信半疑で私に確認してくる。私は本当なんだと伝えるためにも、エドの頬をつねった。
「ほら、みんなビックリしてるから、下ろして」
「え? ああ、そうか」
ようやくエドは周りの反応に気づいて私を抱きかかえるのを止めたが、それでも呆然としている。刺激が強すぎたかな? 牧師様までなにごとかと驚いていたので、式を進めてもらうため急いで話しかけた。
「牧師様! もう大丈夫ですので、続きをお願いします」
「ああ…そうか。ビックリしたよ」
「すみません」
牧師様は場を仕切り直すかのように、コホンと咳払いをした。列席者のみんなもその音にハッとして、牧師様に注目する。
「よってここに、この2人を夫婦と認める!」
わあ! と周りから歓声があがる。私達2人の両親も笑顔で見送ってくれた。まあそれでも後から「あれはなんだったの?」「エドワード大丈夫?」と聞かれ、ごまかすのが大変だったけど。
あれから半年、私達はカフェを開店する準備をしている。エドのお父さんと共同なので、一緒に仕事できるのはすごく嬉しい。お父さんの作ったジャムはあの頃と一緒で、すごく懐かしい気持ちになる。