若旦那様の憂鬱
ただ、不安は尽きない。
俺の思いの重さは、花が俺を好きだと言う思いより雲泥の差ではないかと密かに思う。
だから、何かと花に触れて、キスして思いを注ぎ込みたくなる。
長年拗れた花への愛情は、
多分、誰よりも重くて過剰な程だと自覚はするが、
どうか……許して欲しい。
昨日の今日で、それでも嫌われたくも無いから自制はするが…
どこまで理性で抑えられるのか自分自身も分からない。
溢れ出す愛しさは止めどなくて、
自分では制御出来なくなる事もあるかも知れない。
普段、冷静で喜怒哀楽の乏しい俺を花は良い意味で振り回す。
花の事になるとうまく立ち回れないほど心が乱れる。
どうしようも無くカッコ悪いが…。
花とは表の顔じゃ無く、本当の自分で接していたい。
天気予報を観ると昼過ぎから雪模様だ。
花に気を付けるようにとメールする。
どんだけ心配するんだと、自分自身でも呆れるが、
雪が激しく降れば見合いも中止になるんじゃ無いか?
ほんの少しの期待を胸に仕事に向かう。