若旦那様の憂鬱
柊生は思う。

花は分かりやすい。
表情がコロコロ変わるから見ていて飽きないが……。
さっきまで楽しそうにしてたのに、席に座った途端うかない顔になった。

どうしたんだろうと気になる。

「なんでも無いよ。何食べようかなぁ。」
花はそう取り繕って、メニューを見始める。

柊生は気になり花の手を取り、もう一度聞く。

「隠さなくていい。花の思ってる全てが知りたい。」

花は躊躇する。
そんな事を話したら柊君が嫌な気持ちになってしまうと思うし…

でも、こう言う時の柊生は抗えない事を花は知っている。

「…きっと…元カノさんと、来た事、あるんだろうなって思って……。」

こんな、せっかく2人で初めて来た場所で言うべき話では無いよね、と花は下を向く。
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