若旦那様の憂鬱

私の手に負えるのだろうか？

「やっと、男として意識してもらえたみたいで嬉しい。だけど、あまり警戒しないで、手を出しにくくなってしまう。」

心が明け透けのままの柊生に慣れない花は、どうしようも無く胸がキュンとなって鼓動が早くなる。

真っ赤になって、目も合わせられなくなる。

心臓に悪いから、早くその開けっぴろげになった心を閉じて欲しいとまで思ってしまう。

でも、嫌いじゃ無い…。
　
むしろ心の中まで見せてくれて、嬉しいとさえ、思ってしまう自分がいるのに気付く。

要するにどんな顔の柊生でも、愛しいと思ってしまうほどに、既に、ぬかるみにハマってしまっているんだ自分自身に理解する。

「ごめん。言い過ぎたか？
引かれたら辛い……えっ？嫌いになったか？」
今度は急に、子犬のように心配した顔で花の顔色を伺ってくる。

ふふふっと花は笑って、

「嫌いになんてなれないよ。ちょっとびっくりしただけ…いつもの柊君とまるで違って見えたから、頭が追い付かなくて、ちょっと脳内パニックに…。」