若旦那様の憂鬱
それから、柊生から早く寝る様に促された花は、
仕方なく部屋に入ってパジャマを着替え、ベッドに潜り込む。

パジャマ…漂白剤に浸けておこうかな。

おもむろにそう思い再び階段を下り洗面所に向かう。

と、そこには上半身裸の柊生がいて、びっくりして慌ててバタンとドアを閉める。

「何、ウロウロしてるんだよ。早く寝ろよ。」

「柊君こそ、早く服着てよ!風邪ひくよ。」

花はそれだけ言うのが精一杯で、慌てて階段を駆け上がる。

「おい、バタバタ走るな。傷口が開いたらどうするんだよ!」
柊生の心配症がまた顔を出す。

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