若旦那様の憂鬱
食事を食べ終えお店を後にする。

もちろん、代金は柊生が全て払ってくれる。
花はその場ではご馳走様と、素直にお礼はいったけど少し不服に思う。

「ねぇ。柊君、いつも払ってもらうのは心苦しいよ…。私だってバイトしてるんだし、食事代くらい払えるよ?」

今年になってからずっと、柊生から貢がれてばかりいる事に花は心苦しく思う。

成人式のお祝いだって三万円も入ってた。

「いいんだよ、花は大人しく貢がれてれば。
俺がそうしたくてしてるんだ。俺は花より7も年上で社会人だし、俺といる時は絶対財布は出させない。」

柊生は花の手を繋ぎながらそう言ってくる。

「本当は、出来ればバイトもやめて欲しいくらいだ。」

「そうなの?」

バイトすると話した時に、確かに嫌そうな顔をしてたけど、何も止められなかったから花はちょっとびっくりする。

「バイトするって言った時、反対されなかったから大丈夫なんだと思ってた。」

「それは、兄として、妹の自立を認めない訳にはいかないだろ。でも彼氏としてはコンビニなんて危険なバイトは、正直やって欲しくない。」

「コンビニが危険?」

「それはそうだろ。不特定多数の知らない人が毎日何人も来るだろ?花に好意を持つヤツだっているかもしれないし、強盗とかだって来るかもしれない。」

そんな風に思ってたんだ。

車までの道のりをゆっくり歩きながら2人で話す。
「だって、本当は旅館のバイトしたかったのに、みんなに反対されたんだよ?」
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