若旦那様の憂鬱
「私も柊君が一番大事。」
花は柊生に笑いかける。

「それは…良かった…。」

素っ気なく柊生がそう言うから、花は不思議に思って柊生の顔を見つめる。

「…あんまり見るな。」
そう言って一歩前を歩く。

これは…もしかして…照れてるのかな?

柊君に尻尾がついてたら、きっとパタパタと動いてるのかもしれない。

そう思うと可愛く思えてくる。

よしよしと手を伸ばして頭を撫ぜてみる。

「…犬か何かだと思ってないか?」
柊生は照れながらそう言って、足早になる。

花の手は柊生のポケットの中だから、花だって早く歩かなくちゃいけない。

「柊君早いよ…。」
花はパタパタと小走りになりながら着いて行く。

「俺を揶揄うからいけないんだ。」
柊生は目を細めて、そう花に言う。

「揶揄ってないよ。本気だよ。」
花は笑いながら追いかける。

2人そんな風に仲良く階段を上り、いつの間にか公園の一番高い丘の上に到着する。
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