若旦那様の憂鬱

しばらくして、
花の部屋の前までやって来る足音がする。
花は寝たフリを決め布団に潜り込む。

トントントン。

とノックをして、
柊生がズカズカと部屋に入って来る足音がする。

「花、今夜は親父も女将も宴会客がまだ騒いでるから帰って来れないらしい。
心配だから俺は泊まる事にする。
隣の部屋に居るから、
何があったら何時でも構わないから起こせよ。」

寝たフリをしている花は返事をする事も出来ない。

「花、手を出して…。
キツく巻きすぎた気がする。
巻き直さないと、うっ血したらいけないから。」

そんな怖い事言われたら手を出すしか無い。
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