若旦那様の憂鬱
「俺の家、来る?」

「えっ⁉︎」

だって…来る時は覚悟して来いって言ってたのに……?

花は返事に困り目が泳ぐ。

ハハっと柊生は笑い、車を走らせる。

「ハードル上げ過ぎたな。
今日は何もしないって約束するからおいで。
花と、もっと話がしたい。
ここに来る前の花の話とか、まだまだ知らない事ばかりだし、俺も話してない事、まだあるし。」

そう、終生が静かに言う。

こくんと花は小さく頷く。

今日は何もしないって事は…
いつか何かするって事で…

怖がりな花は未知の世界に飛び込む勇気はまだなくて…

ただ、柊生の事は信じてる。

嘘を付かない誠実な人だって事も、花を傷つけるような事は決してしないって事も。

高鳴る胸を押さえつつ、花は新たに決心をする。
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