若旦那様の憂鬱

花の気持ち

柊君がバイト先に立ち寄る事は今までも良くあった。

私の心配をして、様子を見に来てくれているのだろうけれど、少なくとも週に2日はコンビニ食だ。

仕事の付き合いで外食も多い。
忙しい時は3食ちゃんと食べていない日もあるみたいだし、柊君の食生活が心配になる。

あんなに立派なキッチンがあるのに、勿体無いなぁと思いながら品出しの仕事に入る。

それにしても、何の話なんだろう?
柊君もせっかく早く帰れたのに、私のバイトに合わせて、また実家に行かなきゃいけないのは可哀想だな…。

忙しく品出しと会計を行ったり、来たりしていたら8時になる。

そろそろ上がる時間だ。

次のシフトの人もちょうど来たので、タイミング良くバトンタッチする。

「お先に失礼します。」

「あっ、花ちゃんお兄様がお迎えに来てたから、缶コーヒー差し入れしてあげて。」

コンビニの店長はどうも柊君派のようで、何かと差し入れを頂く。

「ありがとうございます。兄に渡しますね、ご馳走様です。」
ペコリと頭を下げて、缶コーヒーとミルクティーをもらってコンビニを後にする。

コンビニ横の駐車場に行くと、柊君の黒いスポーツカーが停まっていた。
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