若旦那様の憂鬱
久しぶりに康生の車に乗って、
駅近くにある映画館に行く。

チケット代やドリンク代は、
ちゃんと割り勘にしようと言ったのに、
康生が全て出してくれてなんだか申し訳ない気持ちになる。

「康君、奢って貰うのは悪いから半分出すよ。」

「いいって、俺だって春からは社会人なんだし、たまにはカッコつけさせろ。」

この兄弟見た目に反して、
意外と頑固で決めた事は絶対に曲げない。

5年一緒に住んで痛いほど分かっている花は、もうこれ以上は何も言わず従うしかない。
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