若旦那様の憂鬱
花は、目が覚めたらお布団の中にいた。

あれっ⁉︎ここ何処?
頭がボーっとして記憶を辿る…

えっーと……お買い物して…

あっ!お夕飯!!

バッと飛び起きてまたびっくりする。

柊君⁉︎

隣に添い寝するように柊生が寝ていた。

状況が分からず頭が混乱する。

柊君の寝顔なんて貴重だなぁ…

そう思ってしばらくボーっと見惚れてしまう。

ちょっと触って見たくなって頬にそっと触れてみる。

寝顔は幼くなるんだなぁと思う。

前髪を下ろしてる姿もたまにはいいよね。
前髪をそっと梳かしてみる。

柊君が身じろぎそっと目を開けてしまう…
あっ…ちょっと触り過ぎちゃったのかも

サッと手を引っ込めようとする。

なのにパッと手を引っ張られて、気付けば柊君の腕の中……

慣れない体勢にたじろぎ、心臓がドキドキしてしまう。

「ちょ、ちょっと柊君…離して…。」

少し距離を取ろうとするのに、思いのほか強い力で抱きしめられていて離れられない。

「花の寝顔…満喫してたら…俺も知らないうちに寝てた…。」

うわっ…寝顔見られた。
 
なんか恥ずかしい…真っ赤になりながら、バクバクと鳴り止まない心臓の音が、柊君にも聞こえてしまいそう。

「おはよ…花。」

「お、おはよう…あっ!今何時?ハンバーグ作らなきゃっ…。」
ハッと思い立ち上がろうとするのに、柊君の腕の力は一向に緩まない…。

「ちょ、ちょっと、お願い柊君離して…。」
困って柊君の顔を見上げる。

「ダメ。
もう7時回ったとこだから、夕飯作りはまた今度でいい。だからしばらくこのまま逃げないで。」
そう言われてしまうと逆らう事も出来ない。

諦めて私はしばらくじっと柊君の腕の中に留まる。
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