若旦那様の憂鬱
しばらくベッドの上で抱き合う。
そっと離れようとするのに、柊生の腕はまだ離れる事を許さない。
 
「待って、電圧下げてるから。」
どういう事?と、思いながら身動きもせず静かに待つ事にする。

「お腹空いたか?」
フッと我に帰った様に柊君が花を見つめる。

「…ちょっとだけ。」

「分かった。何が食べたい?電話する。」

「簡単なパスタぐらいだったら作れるよ。」

先程買った材料で何が作れないか考える。

ハンバーグの為に買ったひき肉があるし、ミートソースパスタならすぐに作れそうだと閃く。

「ダメ、次呼ぶ時の口実だから、今日は作らなくていい。」

「でも、サラダとか新鮮な方が美味しいよ?」

「じゃあ、明日か明後日で作りにこれば良い。」
ただをこねる子供みたいだなぁと思ってしまう。

ふふふっと笑って、
「分かったよ、近いうちにハンバーグ作りに来るね。」

柊君は嬉しそうに、よしよしと頭を撫ぜてやっと離してくれた。
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