若旦那様の憂鬱
2時間ちょっとの映画は思った以上に面白くて、花は集中してストーリーに入り込んでしまった。

最後の結末はアンハッピーエンドだったので、花は号泣してしばらく立ち直れないくらいのダメージを受ける。

「花、泣き過ぎだって…なんか俺が泣かせたみたいじゃん。」
康生はそう言って、映画館の入口になんとか花を誘導させる。

「あっ……ヤバッ。」

康生が映画館の入口に目をやって突然固まる。どうしたんだろうと、花は同じ方向に目を向ける。

「あっ…。」
 
そこには、腕を組んでこっちを見据える柊生がいた。
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