若旦那様の憂鬱
「…仕事…戻りたくないな……。」

花によしよしされながら柊生は呟く。

「明日、ご飯作りに行くね。何食べたい?」

「ビーフシチュー…学校何時に終わる?
迎えに行く。」

「大丈夫。買い物してから帰るから、たまにはのんびり休んだ方がいいよ。」

「じゃあ、尚更迎えに行く。荷物が増えて大変だろ。」

「柊君、私に甘すぎだよ…。」

夜勤明けは出来るだけのんびりしてて欲しいのに、逆に疲れさせてしまうんじゃないかと困ってしまう。

「花が来るのを待ってるだけなんて、心配で逆に疲労する。楽しみが出来たから仕事頑張れそうだ。」
にこりと笑っていつもの柊生に戻る。

「いってらっしゃい。ちゃんと仮眠も取ってね。」

車に乗り込んで柊生は窓を開けて、花の左手を取り婚約指輪にキスを落とす。

「早く、家入って。」

私がいってらっしゃいしたいのに……と、花はちょっと不服だが、こくんと頷き玄関まで歩く。

玄関戸を開け、もう一度振り返って手を振り中に入る。

寂しいな……と思う。

ここ最近、数時間しか会えない日々が続く。

結婚指輪の受け取り予定日まで後20日はある……。
自分からいい出しておいてなんだけど、長いなぁ……と、思ってしまう。


私が柊君不足で死にそうかも…。
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