若旦那様の憂鬱
柊生は花の片付けを手伝おうと歩き出す。

「若旦那、今日は司会ありがとう。」
商店街の会長に捕まる。

「いやあ、司会業さまになってたよ。
また次回も是非よろしく頼むね。
この後打ち上げがあるんだけど、
君が来てくれると若い子達も参加してくれるんだけどどうだい。」

「すいませんが…
さすがに疲れたので今日は帰らせて頂きます。花も慣れない仕事で疲れたはずですし。
それより、片付けに人が足りない気がするんですけど?」
柊生は会長に伝える。

「あれ?アシスタントの女性にもお願いしてあったんだけどねぇ…、どこ行ったんだ?」
会長は会場内を見渡す。

柊生も先程まで花がいた所に目をやる。

花が居ない……。

慌てて会場内を見渡すが何処にも居ない。

柊生は嫌な胸騒ぎを覚える。

「すいません、ちょっと抜けます。」
会長に断りを入れて花を探しに歩き出す。

ゴミ捨てに行ったのだろうか?
杞憂に終われば良いが……、

先程まで花が居た所にはまだゴミ袋が置いてある。
花が仕事を放り投げていなくなるなんて事はあり得ない。

柊生は足速にステージ裏から廊下に出て花を探す。
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