若旦那様の憂鬱
結局、花が選んだお店は定食屋さんで、
3人それぞれ楽しく食べる事が出来た。

「ねぇねぇ。康君のハンバーグちょっと食べさせて。」
花が迷っていたもう一つのメニューを
康生が選んだから気になってしょうがない。

「じゃあ、花のエビフライ半分と交換だ。」
康生と花が仲良く分け合う姿を、
柊生がイラっとして見ている。

「花、俺の唐揚げやる。」
ぶっきらぼうにそう言って、
柊生は花のお皿に唐揚げを入れてくれる。

「えっ!じゃあ。柊君にはアジフライ半分あげるよ。」

なんだかんだと3人仲良くランチを食べ終えた。

お会計は割り勘にしようと花が言ったのに、
柊生が知らぬ間に3人分払ってくれていた。

「柊君、ご馳走様。
誘ったのは私達なのに…何かごめんね。」
花が申し訳なくてそう言うと、

「どう見ても、働いてる俺が払うべきだろ気にするな。」
柊生はそう言ってくれる。

「たまには3人で外食も楽しいね。
また来ようね。」
 
花が楽しそうにスキップするのを、
男2人はハラハラしながら見守る。

「花は俺の車に乗って。康生は1人で好きに帰れ。」
別れ際、柊生は花にそう言う。

花としては、康生の方が気楽で良いのだけれど…と、不安になって康生の顔をおもわず見る。

「花は、俺の方が良いみたいだぞ。」
 
康生がそうハッキリ言ってしまうから、
また柊生の顔が怖くなる。 

ここは空気を読んで、
大人しく柊生と帰るべきだと花は判断して、

「私、柊君と帰るよ。今日はありがとう誘ってくれて。」
まだ何が言いたそうな康生に別れを告げ、
柊生の後に着いて歩く。


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