若旦那様の憂鬱
花の乗りたいアトラクションを何個か乗って、夕飯はパレードを見ながらハンバーガーを頬張る。
柊生もこの時ばかりは、若旦那の仮面を外して楽しんだ。

2人にとっては新鮮で楽しい時間になった。

遊び疲れてホテルに入れば、そこもまた夢の国だった。

「凄い。物語の中に入った見たい…。」
花は感動して部屋中を見て回る。

天蓋のあるベッドにふわふわの絨毯、窓からの景色はまるでヨーロッパ。

「外国に来たみたいだね。」
花がバルコニーに出てはしゃいでいる。
柊生はそんな花に付き合って、しばらく寄り添い夜景を楽しむ。

「雨じゃ無くて良かったな。
花、ところで着替えがない事に気付かないか?」

「あっ…。本当だ忘れてた…。どうしよう柊君。」
やっと現実に戻ったらしい花を抱き上げ部屋の中に戻る。

花をふわふわのソファに降ろし、目の前に大きな紙袋が一つ置く。

「これをどうぞ、お姫様。」
そう言って、紙袋から箱を取り出す。

「これは寝る時用、こっちは明日用。」
真っ白な2つの箱を取り出して机に並べる。

「さぁ、どっちから開ける?」

「えっと、じゃあ…寝る時用。」
そう言って、花は恐る恐る箱を開ける。

中には真っ白なシルクの様な手触りのネグリジェが入っていた。

いかにもお姫様が来そうな高級な感じだった。
花はしばらく言葉を失い固まる。

「あれ…こう言うのダメだったか?」
余りにも反応が無い花を心配して、柊生は不安になる。
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