若旦那様の憂鬱
花side
「さぁ、お姫様。明日の為にも早くお風呂に入って、寝なくてはいけません。」
柊君がそう言って立ち上がり、私をお姫様抱っこして浴室に運んで行く。
「何で、ここでも執事なの?」
柊君のなりきりが可笑しくてクスクス笑ってしまう。
「私がお姫様だったら柊君は王子様だよ。」
そう言うと、
「…それは…ガラじゃない。」
となぜが柊君は拒否してきた。
「俺は花に尽くしたいんだから執事でいいんだよ。」
そう言いながら、私の着ているカーディガンを脱がしていく。
「ちょっ、ちょっと待って、お風呂は1人で入るよ⁉︎」
「えっ?夢の国なんだから一緒に入らないといけないだろ。こんなに広い湯船だぞ。」
当たり前だと言う風にどんどん脱がされて…
「えっ?えっ⁉︎」
と、戸惑いながら気付けば一緒に湯船の中…。
こう言う時の柊君は楽しそうだけど…結構強引で逆らえない雰囲気を出してくる。
ただ一緒に楽しめるまでの境地にはまだまだ程遠くて。
どうしていいのか、どうするべきなのか答えも見つからない。
「花、体洗うからちょっと椅子に座ってくれますか。」
なぜが敬語で誘導してくる柊君も、多分手探り状態なんだと思う。
どこまでが大丈夫で、どこからが嫌なのか…
ちょっとずつ誘導して、怖がりの私を慣らしてくれている。