若旦那様の憂鬱
「おはよう、花。」

私の旦那様は朝から爽やかだなぁ…。

微睡む意識の中ボーっとそんな事を考える。

あれ?
いつもよりベッドのふわふわ感が違う様な…

あっ…
そうだ、夢の国!!

ガバッと勢い良く身体を起こす。
柊君が心配して慌てて支えてくれるけど。

「今、何時⁉︎」
キョロキョロしながら時計を探す。

「今、7時だ。大丈夫まだ始まってないから。」
にこりと笑って抱きしめてくれる。

「良かった…。」
ホッとしたのもつかの間…

私、昨夜…いつ寝たのか記憶が無い…

ハッとして自分が服を着てるか確認する。

それにしてもなんて滑らかなネグリジェだろう。手触りがサラサラで軽くてまるで絹みたい。

うん?
いつ着たんだろう私…。

柊君を見つめる。
どうした?と言うような目線を向けてくる
私の旦那様は、昨夜の獰猛な雰囲気とはまったくかけ離れて、まるで別人。

「ああ、花が何も着ないで寝たから、
風邪をひかせたら大変だと思って着せたんだ。やっぱりよく似合う。」

「…ありがとう。」
ありがとう……で良いのかな?

昨夜は早く寝ないといけないって言いながら、なかなか離してくれなかったのは当の本人ですけどね?

そう思って、もう一度見る。

私の考えを読もうとして、柊君もじっと見てくる。
他の夫婦は知らないけど…

さすがに一度に何回も、し過ぎじゃないですか?
目で訴えで見るけど通じるはずも無い…。
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