若旦那様の憂鬱
箱の中には、
透け感のある白のハイネックのトップスに、サラサラとした生地の濃紺のロングキャミワンピース、
その上に羽織るフワッとした柔らかい風合いの、白いカーディガンは膝高さくらいの丈がある。

後は可愛いピンク色の下着…。

「可愛い。」
思わず口に出してしまう。

大人っぽいながらもふんわりした緩さがある洋服は私好みだった。

「花が着たらもっと可愛い筈だから、早く着て見せて。」

向かいのソファで私の様子を見守っていた柊君も、嬉しそうに微笑んでいる。

私は早速、シャワーを浴びて新しい洋服に袖を通す。

下着を着る時、ふと目の前の鏡を見て気付く。
身体のあちこちに桜の花びらのように赤い跡が散りばめられている…。

えっ…これって、キスマーク?
ありとあらゆる場所に咲き散らされた跡は、こんなところまで⁉︎と思うような場所まで残されていた。

昨夜の事情を思い出して赤面する。

これ洋服で隠れるのかなぁ…と、心配になるほどだった。
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