若旦那様の憂鬱

夢のような1日

園内に入った途端そこは別世界だった。

入って直ぐに柊生にピッタリの、犬耳の付いたキャップを見つけて花はプレゼントする。

これで少しはイケメンオーラが消えるはず。

そう思ったのに逆に似合い過ぎてしまうから困ってしまう。

そんな事を考えていると、柊生も何か買って来て花の頭乗せる。

柊生が買って来たのは犬耳にリボン付きの女の子用キャップ。
「さすが花、何でも似合うなぁ。」
感心してるのか、揶揄ってるのかよく分からないけど嬉しそう。

つられて花も笑う。

手を繋いで1番人気のアトラクションに走る。
今ならまだ30分で乗れるらしい。

息を切らしながら最後尾に並び、順番を待つ。
沢山の人の中にいても頭一個分背の高い柊生はやっぱり目立つし、オーラは消せてない。

「花、水分取って。」
と、ペットボトルの蓋をわざわざ取って渡してくれる。

「ガムとか飴とか食べたかったら言って。」

いつの間に買ったのかいろんなアイテムを持っていて、花をこれでもかと甘やかして世話をやく。

既に開き直った花も、全てを許してニコニコの笑顔を見せる。

長い待ち時間だって、人混みだって2人でいれば問題無く楽しめる。

それを実感して花は幸せを噛み締めた。

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