若旦那様の憂鬱
「いやいや構わないよ。」
隣席の中年男性はそう言って既に寝る体制に入る。
席を離れて機内を見て回る事は不可能だな…。
座席から首だけ伸ばして辺りを見渡す。
小さな花は見つけられない…途方に暮れて頭を抱える。
あれ?あれは……。
後方の反対側通路、頭上の荷物棚からぬいぐるみの尻尾がはみ出ている事に気付く。
あれは……茶トラじゃないか⁉︎
俺が花の誕生日にあげたトラ猫のぬいぐるみだ。
花だ…
茶トラは手離さず連れて来たんだ。
まだ繋がっている物があったんだと心底安堵する。
ああ、よかった…花がいる。
自分の感は間違いないではなかった。
深いため息を吐いて安堵する。
近くのサラリーマン風の男が茶トラの尻尾に気付き、荷物棚に仕舞い直している。
その様子をなす術なく遠目で見ながら、
気安く茶トラに触るなよと、変な嫉妬までしてしまう。
それから2時間余りの空の旅は、
モヤモヤとハラハラが入り混じった気持ちで
なんとも言えない時間を過ごす。
隣席の中年男性はそう言って既に寝る体制に入る。
席を離れて機内を見て回る事は不可能だな…。
座席から首だけ伸ばして辺りを見渡す。
小さな花は見つけられない…途方に暮れて頭を抱える。
あれ?あれは……。
後方の反対側通路、頭上の荷物棚からぬいぐるみの尻尾がはみ出ている事に気付く。
あれは……茶トラじゃないか⁉︎
俺が花の誕生日にあげたトラ猫のぬいぐるみだ。
花だ…
茶トラは手離さず連れて来たんだ。
まだ繋がっている物があったんだと心底安堵する。
ああ、よかった…花がいる。
自分の感は間違いないではなかった。
深いため息を吐いて安堵する。
近くのサラリーマン風の男が茶トラの尻尾に気付き、荷物棚に仕舞い直している。
その様子をなす術なく遠目で見ながら、
気安く茶トラに触るなよと、変な嫉妬までしてしまう。
それから2時間余りの空の旅は、
モヤモヤとハラハラが入り混じった気持ちで
なんとも言えない時間を過ごす。