若旦那様の憂鬱
飛行機の中、ひたすら懺悔し後悔をし続ける。
いっそのこと嫌ってくれた方がマシだとも思う。
どうか神様、罰を受けるのは私だけにして下さい。
花は祈らずにはいられなかった。

北海道に着いたのは20時を回った頃だった。
とりあえず、今日泊まる宿を今から見つけなくてはいけない。

悲しんでばかりはいられない。
無理矢理気持ちを奮い立たせ、
荷物を受け取り空港ロビーに進む。

空港ロビーの迎え口に何気に目をやり
びっくりして足が止まる。

えっ……

会いた過ぎて幻を見ているのだろうか…。

立ちすくみながら呆然と目の前の光景を凝視する。

この光景…前に見たな、と頭の片隅で思う。

あれは確か…康君と2人で映画に行った日。
出入り口に柊君が鬼の形相で立っていた。

後ろにも前にもいけない状態で、
逃げ場は無い……と覚悟して、

仕方なく前におずおずと進む。

今、目の前にいる柊君もあの時と同じように怒っているのだろうか……。

今なら家出が見つかった中学生の気持ちがよくわかる。
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