若旦那様の憂鬱
宴もたけなわで会も終わりを告げ、花は帰り支度をして柊生にメールを入れる。

すると直ぐ既読が付いて、ロビーに既に来てると連絡が入る。
エレベーターに田中、佐藤、椎菜とカンナと一緒に乗り込み一階に降りる。

「柊様、一階に来てるの?一緒に写真撮れるかなぁ?楽しみ。」
カンナが楽しそうに言う。

「聞いて見るけど…だめだったらごめんね。柊君、あんまりカメラ好きじゃ無いみたいで…。」

「柊様に会えるだけでも幸せだから大丈夫だよ。」

「俺はお兄様苦手だなぁ。何か完璧過ぎて近寄り難い感じがする。」
田中君がそう言うから、

「康君はサッカー大好きで、大学もサッカー部に入ってるよ。きっと、話し合うと思うよ。」

花は何気無く、親しみ易いアピールをしてみる。
少しでも一橋兄弟の近寄り難いイメージを払拭出来ればと思ったが、

「いやぁ、あの方達と俺らのサッカーじゃ、格が違い過ぎるから。俺らなんて足元にも及ばないよ。」
そう、佐藤君が言った。

そんなに?と花は思うけど、実際に康生がサッカーをやる姿は見た事が無い。
大会にも見に行った事が無いから強いのかもよく分からない。

今後、一度聞いて見なくちゃと思った。
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