若旦那様の憂鬱
「そうか?
確かに子供の頃はあんまり食べさせてはもらえなかったけど、その反動で食べたかったんだなきっと。
昔からどこへ行っても、一橋家の看板背負ってるみたいなもんだったから。
人目を気にして行けなかったんだよな。」

「えっ?じゃあなんで私となら行ったの?」

「妹が食べたがってるからって、堂々と行けるだろ?」

「私をダシにしてたの?」

「そうとも言える。」

二人で笑う。

慌ただしかった今日、
やっとホッとする時間をニ人で過ごす。

「お疲れ様。 
転ばないで1日過ごせて偉かったな。」
そう柊生が言ってくるから

「褒めるとこそこだけ?」
ふふふっと花が笑う。

何気ない二人のこんな時間が、
1番贅沢な時間に思えて、

ずっとこんな風に続いていけばいいのになぁと花は思った。
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