若旦那様の憂鬱
「ごめん…花。揶揄ったりして悪かった…。
……強引な事して、悪かった。
頼むから、傷口の手当だけはさせてくれ…花…。」

返事が無い…。
 
不甲斐ない自分に自己嫌悪しながら、許しを乞うまで引き下がれないと腹を括る。

「花……血が止まらないだろ?心配なんだ…頼むから出て来てくれ。」

懇願するように呼びかける。

ガチャと鍵が空き、花が顔を出してくれる。

「ごめんなさい。
お兄ちゃんって呼んで…怒ってないの?」
と、泣きそうな顔で言ってくるから、俺は心底ホッとした。

とりあえず、傷の手当が先だと急ぎ傷口を確かめ手当する。出血は止まったようで一安心した。

もう二度と花を揶揄うのは辞めようと心に誓う。

もう花も子供じゃ無いんだ、いつまでも子供扱いしてたら本気で嫌われる…。
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