彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.1】
異動
今日は、なぜか私だけ朝から社長に呼ばれた。
彼は昨夕から大阪へ出張中。何か頼まれるのかなと思って最上階へ急いで向かった。
いつも社長が座っている席に会長が座っている。背中を向けて向かい側に社長がいた。
私は驚いた。何しろ、この会社は会長のものだから、絶対権力者なのだ。
「え?会長お久しぶりでございます」
「森川さん、こちらへ来て下さい」
社長秘書の篠田さんが言うので、向かいの席に座る。
「森川さん、永峰君はどうかね?」
社長が話し出した。
「お忙しくされていますが、仕事に問題は特にありません。挨拶回りも終わりましたし、通常業務が増えてきました」
会長は私を見てふむふむと言う。篠田さんのほうを社長が見た。すると、篠田さんがしゃべりだした。
「森川さん、あなたは業務部へ戻りたいんじゃありませんか?」
私はびっくりした。そうか、彼がいないときに呼び出したのはそういう意味だったのかとすぐに思い至った。
「……あの……それって……」
すると、篠田さんが言葉を繋いだ。
「あなたさえよければ、業務部へ戻して差し上げましょう。新しい業務部長の秘書をしながらになりますけれども……いかがでしょうか?」
びっくりしすぎて、返事を忘れて固まった。
彼は昨夕から大阪へ出張中。何か頼まれるのかなと思って最上階へ急いで向かった。
いつも社長が座っている席に会長が座っている。背中を向けて向かい側に社長がいた。
私は驚いた。何しろ、この会社は会長のものだから、絶対権力者なのだ。
「え?会長お久しぶりでございます」
「森川さん、こちらへ来て下さい」
社長秘書の篠田さんが言うので、向かいの席に座る。
「森川さん、永峰君はどうかね?」
社長が話し出した。
「お忙しくされていますが、仕事に問題は特にありません。挨拶回りも終わりましたし、通常業務が増えてきました」
会長は私を見てふむふむと言う。篠田さんのほうを社長が見た。すると、篠田さんがしゃべりだした。
「森川さん、あなたは業務部へ戻りたいんじゃありませんか?」
私はびっくりした。そうか、彼がいないときに呼び出したのはそういう意味だったのかとすぐに思い至った。
「……あの……それって……」
すると、篠田さんが言葉を繋いだ。
「あなたさえよければ、業務部へ戻して差し上げましょう。新しい業務部長の秘書をしながらになりますけれども……いかがでしょうか?」
びっくりしすぎて、返事を忘れて固まった。