彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.1】
社長秘書の篠田さんがこちらを向いて話し出した。
「今、業務部長秘書をしている並木さんを君と交換しようと相談している。永峰取締役は業務部本部長も兼務するから、並木君のほうがいいだろう。現在の業務部長の佐竹部長は営業に達也の後に入り、異動になる予定だ」
並木さんは以前から彼にモーションをかけていた。相談すれば、喜んですぐに了承するだろう。彼女の仕事ぶりに問題はないが、彼は絶対に了承しないだろう。私情を見せる彼女が煩わしいのはあきらかだ。
何も返事しない私を三人はじっと見ている。
「……何か思うところがあるようだな。はっきりいいなさい」
会長が私に促した。社長がたたみかけるように口を挟む。
「俊樹のことなら、私が説得するから大丈夫だよ、森川さん。君にとっては願ってもない話だと思う。いずれ、達也につけば社長秘書となる日もそう遠くはないはずだ」
「なんだね。森川さん」
会長は、もう一度聞いてきた。
「……並木さんの能力に問題はありません。ただ、彼女は永峰取締役を男性として慕っているのは業務部では割と有名です。永峰取締役が煩わしく思うかもしれないです」
「ふーん。なるほどな。誠二、お前把握していなかったのか?」
「いや、そういう報告はなかったです」
社長は、篠田さんの方をすがるように見た。篠田さんは困った顔をしている。
「今、業務部長秘書をしている並木さんを君と交換しようと相談している。永峰取締役は業務部本部長も兼務するから、並木君のほうがいいだろう。現在の業務部長の佐竹部長は営業に達也の後に入り、異動になる予定だ」
並木さんは以前から彼にモーションをかけていた。相談すれば、喜んですぐに了承するだろう。彼女の仕事ぶりに問題はないが、彼は絶対に了承しないだろう。私情を見せる彼女が煩わしいのはあきらかだ。
何も返事しない私を三人はじっと見ている。
「……何か思うところがあるようだな。はっきりいいなさい」
会長が私に促した。社長がたたみかけるように口を挟む。
「俊樹のことなら、私が説得するから大丈夫だよ、森川さん。君にとっては願ってもない話だと思う。いずれ、達也につけば社長秘書となる日もそう遠くはないはずだ」
「なんだね。森川さん」
会長は、もう一度聞いてきた。
「……並木さんの能力に問題はありません。ただ、彼女は永峰取締役を男性として慕っているのは業務部では割と有名です。永峰取締役が煩わしく思うかもしれないです」
「ふーん。なるほどな。誠二、お前把握していなかったのか?」
「いや、そういう報告はなかったです」
社長は、篠田さんの方をすがるように見た。篠田さんは困った顔をしている。