彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.1】
 
 仕事柄、早朝出勤や残業も多々ある。家を出ようかと悩んでいたときに彼と恋人関係になってしまった。

 週末彼のもとに泊まることも多くなって決断すべき時に来ている。

 * * * * *

 おとといの土曜日、お兄ちゃんの喫茶店へ久しぶりに行った。

 兄嫁の緑ちゃんは幼馴染で彼女は元々OL。土日祝日は兄が店長をする喫茶店の仕事を手伝っている。

 赤ちゃんができてから産休、育休をとっていた。そうしたら、なんとまた妊娠したらしい。

 お兄ちゃんたら、何してんのよ。復帰させたくないというのはそういう作戦?

 実家が喫茶店の私も、土日祝日は家の手伝い。つまり店に出ている。
 
 お兄ちゃんは今買い出しで外出中だ。

 内緒の相談は今がチャンス。実は彼女には彼との付き合いと一人暮らしをしようかと思っていることをLIMEで事前に話してあった。緑ちゃんが笑いながら言う。
 
「この間もお義父さんが、菜摘ちゃんが土日は一日くらいしかいないし外泊が多いと嘆いていたから、彼氏がいることはわかってるんじゃない?」

「うん。実はお母さんには彼のことを今日話した……そうだと思ったって言われちゃった」

「そう。そのほうがいいよ。お義母さんは理解あるよ。私も外で働くことを認めてもらっているし……」

「そうだね。今の会社に入るときは後押ししてもらった」

 緑ちゃんは私の顔を覗き込んで聞いた。

「それで、彼は菜摘ちゃんの一人暮らしを許してくれるの?一緒に住みたいって言われない?」
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