彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.1】
始業時間になると、すぐに彼から電話が入った。
「……森川サン、聞いたよ。絶対渡さないからな」
思った通りの第一声だった。机の電話だから、聞いている人もいるだろう。語尾が公私混同している。
「取締役、その件ですがまだ決まったわけではありません。私の後任もまだ調整中です」
「……菜摘、お前異動了承したのか?」
会社の電話なのに名前を呼ぶなんて一体どうしたんだろう。
「取締役おちついてください。携帯で話しましょう」
「誰もいない会議室で話しているから大丈夫だ」
「三橋新部長から伝言です。全て新部長が取締役と交渉するそうです。彼は、私のプライベートには干渉しないと言いました。そういう意味では私に全く興味もないと言ってました。おそらく見破られました」
声を落として小声でささやく。
「どういうことだ?付き合っていると言ったのか?」
「肯定も、否定もしませんでしたが想像していたようでした。お話して驚きました。すごく頭の切れる方ですね」
「ふざけるな、達也のやつ調子に乗りすぎだ。俺を敵に回す気なのか?」
「落ち着いて下さい。私は公には秘書で、プライベート変わりません。新部長もそれを阻む気は全くありません」
「……森川サン、聞いたよ。絶対渡さないからな」
思った通りの第一声だった。机の電話だから、聞いている人もいるだろう。語尾が公私混同している。
「取締役、その件ですがまだ決まったわけではありません。私の後任もまだ調整中です」
「……菜摘、お前異動了承したのか?」
会社の電話なのに名前を呼ぶなんて一体どうしたんだろう。
「取締役おちついてください。携帯で話しましょう」
「誰もいない会議室で話しているから大丈夫だ」
「三橋新部長から伝言です。全て新部長が取締役と交渉するそうです。彼は、私のプライベートには干渉しないと言いました。そういう意味では私に全く興味もないと言ってました。おそらく見破られました」
声を落として小声でささやく。
「どういうことだ?付き合っていると言ったのか?」
「肯定も、否定もしませんでしたが想像していたようでした。お話して驚きました。すごく頭の切れる方ですね」
「ふざけるな、達也のやつ調子に乗りすぎだ。俺を敵に回す気なのか?」
「落ち着いて下さい。私は公には秘書で、プライベート変わりません。新部長もそれを阻む気は全くありません」