彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.1】
スーパーウーマン緑ちゃん。彼女は私の目標なのだ。相手はお互い束縛したがる男で似ている。
* * *
……カランカラン。
「ただいま」
お兄ちゃんが帰ってきた。早すぎない?
「おかえり」
「あれ、菜摘。まだいたのか?」
「すいませんね、お邪魔していて……お兄ちゃん、緑ちゃん順調みたいで良かったね。たくさん手伝ってあげてね」
「当たり前だ。それで菜摘お前、一人暮らしするとかホントか?」
「うん。そうせざるを得ない感じなの」
「なんかあるなら相談しろよ。これでもお前の兄だからな」
優しいな、お兄ちゃん。緑ちゃんのお兄さん、青兄も幼馴染みだけど、ちょっと鋭くて怖い。兄にするなら私はお兄ちゃんが良かったから幸せ。緑ちゃんには言えないけどね。
「ありがとう、ふたりとも」
「いえいえ、私はこの結婚に関して菜摘ちゃんに大きな借りがありますので、いつでも頼ってね」
ウインクする緑ちゃん。本当にうれしい。彼女が義姉さんになって私は幸せだ。
ああ、一人暮らしは決まったけど、彼をどうやって説得しよう。どうせ無理だろうけど、ね。