彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.1】
「で、達也と明日飲みに行くというのは本当か?」
嘘でしょ。あれほど内緒にしてたのに、何でわかったの?
「業務部の飲み会に呼ばれただけよ。業務部の若手もいるから懐かしくて行きたいの」
「なんで黙ってた?反対されるのをわかっていたんだろ?」
心配させたくないから接待の夜の日に入れたのに、どうして……。
「ねえ、それくらいは許してよ。どうしたの?今までは許してくれてたじゃない」
「最近、さらに綺麗になったと社内で噂されてると聞いた。心配だから接待も落ち着けない。どうしてくれる」
「もう……大丈夫だから、私には俊樹さんだけです」
両腕を彼の頭に回し抱きしめる。
「……当たり前だ」
彼の溺愛は結婚するときまったのにさらに深くなった。どういうことなんだろう。これ以上ってあるの?考えていると、気づけば深いキスをされて身体を撫でる彼の手に、今日も意識がすべて持って行かれてしまうのだった。
俊樹さんは私を見えない鎖でぐるぐる巻きにする夢を見たと言う。夢ならいいけど、最近の彼を思うと笑えないのよね……。
菜摘はため息をついたのだった。