彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.1】
同期
昼休み、社食へ下りると業務部のメンバーが集まっているテーブルを発見した。
同期の巧を発見。
A定食を持って、奴の後ろから近づくと隣にいた奈々ちゃんが巧の小皿に醤油を入れてあげていた。
「やだ、森川先輩。そんなところでどうしたんですか?」
どうしたもない。社食なんだから、食事に決まってるでしょう……。
反対の開いている椅子に座る。
「おー、秘書様ごきげんよう」
「奈々ちゃん、相変わらず巧を甘やかして、だめだよ」
「先輩、邪魔です。私の大切な時間に割り込まないで」
唐揚げを食べようと大きな口を開けた私は、睨む奈々ちゃんを無視。
「菜摘。お前、秘書室勤務になったのにそんなでかい口開けて唐揚げ食ってるのはだめだろ。そばでもすすってろよ」
「うるさいわね、巧。秘書室は体力と気力の勝負よ。業務の仕事より変な疲れが多くて、食べないとストレス解消できない」
「確かに食ってる割には、ちっとも太らねーな、お前」
「失礼ね、相変わらず」
「確かに忙しそうだもんな。この間もオフィスをハイヒールで走ってたしな」
「森川先輩。巧先輩のことはすっかり忘れて下さい。私が全部お世話しますから」
奈々ちゃんが巧を見つめて話す。ハートが後ろに飛ぶ目を見つめると、奈々ちゃんはこちらに向かってにっこりした。