一匹狼が番犬になるまで。
ーーー

「帯島くん、図書委員は図書室集合だって。
一緒に行かない?」


今日は、放課後に今年度初の委員会での集まりがある。
まだ帯島くんとは話したことがないので、せっかくの機会に声をかけることにした。
視界の端には、不安そうにこちらを見つめる有紗がうつる。

帯島くんは、すこし面食らったあと、また不機嫌な顔に戻り、苦々しく口を開く。

「…うっとおしい、いちいちつるんで行くとか小学生かよ」

嫌そうに言われてすでに心が折れそうである。
けれど、できるだけ仲良くなりたいという気持ちはまだ私の中にあった。
内心怯えながらも、図太く、鈍感なふりをして続けた。

「まあそうなんだけどさ、せっかく同じ委員会なったんだし、一緒に行こうよ!
帯島くんと話してみたいなって思ってて」


ね、と機嫌を伺うように言うと、ため息をつきながら立ち上がった。


「…勝手にしろ」


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