一匹狼が番犬になるまで。
ーーー

図書館に着くと、先生から空いてる席に適当に座れと言われる。

なんとなく私と帯島くんは、後ろの方の席に隣り合って座った。


「朝比奈さん」

委員会のメンバーが全員来るのを座って待っていると、私のもとに佐伯くんが声をかけてきた。


「佐伯くん!図書委員なったんだね」
「うん、俺もじゃんけん負けて…」

佐伯くんはそう言いながら目を泳がせる。

…もしかして、私に合わせて図書委員になったのでは?

そんな自意識過剰な考えに至って、なんとなく佐伯くんを直視できなくなってしまう。

佐伯くんは、そわそわと居心地悪そうにしつつ、それでも私の席から離れようとしなかった。
私の隣は帯島くんがいるから、そばに空いてる席はない。
そろそろ全員が集まるから空いてる席を探して座った方がいいのに、名残惜しそうに私に話しかけている。

もしかして、私の隣に座りたかったのかな…。

有紗の話を聞いてから、そんなことばかり考えてしまってつい顔が赤くなる。

二人してアワアワしていると、となりの帯島くんがぼそりと呟いた。


「……ああ、そういうことかよ」

帯島くんは自分のカバンを持ち、ほかの空いてる席に移動した。


「席…譲ってくれたのか?」
「そう…だとおもう」

ぽかんと帯島くんを見た後、佐伯くんは照れ臭そうに隣に座った。


「帯島って怖いやつだと思ってたけど、意外といいとこあるんだな」
「ね!気を使ってくれたのかも」


口も態度も悪いけど、思っていたほど傍若無人ってわけではなさそうでホッとする。

せっかく同じクラスで同じ委員だから、ちょっとした雑談くらいは話せるようになりたいな。
帯島くんのいないところでかってにそう目標を立てた、


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