俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「あ……」
 飲みかけなんてことも気にしないで、城ヶ崎は優羽のグラスのサングリアを飲んでいた。

「甘……」
「人のやつを取り上げておいて何言ってるのよ」
 早紀の呆れたような声が聞こえた。

 こんなことにドキドキしてしまっているのは、優羽だけなのだ。
 城ヶ崎はなんでもないことのように笑っているだけだった。

「なんか、吉野が酒飲んでるのとか感慨深いな。お前も大人になったんだなぁ」
「何言ってんのよ、自分もでしょ?」
「城ヶ崎くんは? 何飲んでるの?」
「焼酎ロック。飲み放題のくせしてここ、なかなか良い酒が揃ってる」

 そんな話を聞いていると本当にお互い大人になったんだなぁと優羽は実感する。

「で、女子同士で固まって何話してたんだ?」
 城ヶ崎の質問には早紀が答えた。

「優羽の最近の話」
「へえ?」
 きゅっと城ヶ崎の口角が上がる。

 優羽の好きな表情でこれを見るとキュンとしたなあと学生時代のことを思い返す。

 実を言うとさっきまで早紀と話していたのは、優羽が最近失恋したという話だ。そんなことはバラされたくないからあわてて優羽は城ケ崎に笑顔を向ける。
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