俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「たいした話じゃないから! 本当に」
 察した早紀も話を逸らしてくれた。
「優羽はね、最近後輩の指導もしているんだって。高校生の頃から面倒見よかったもんねえ」

「そうだよなあ。後輩にも優しかったって印象ある」
 二人にそう言われて優羽は照れてしまった。
「そんなことないよ。城ケ崎くんは尊敬されていたでしょう?」

 とりとめのない話や懐かしい話をしながら飲むお酒が美味しくて、あまり強くないのについつい飲んでしまったことに優羽は気づいていなかった。

 その辺りから記憶がはっきりしない。
 なんだか「飲みすぎてないか?」とか言われて、肩を抱かれてタクシーに乗った。

 酔いながらもゆらゆら車の振動に身体がゆすられるのが心地よかったのと、もたれかかっていた城ケ崎の香水がとてもいい匂いで、大人なんだなぁなどと思ったことはぼんやり覚えている。
 その辺りから、優羽の記憶はぷっつり途絶えているのだ。


 そして、見たことのないベッドの上で、あられもない姿で、隣でというか目の前で整いすぎなくらい整った城ケ崎の顔が微笑んでいた。

「なあ、もう一回しよ?」
「きゃあぁぁ~」

 優羽は城ケ崎を突き飛ばして、ダッシュで服を着て、逃げた。

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