俺様弁護士は激愛を貫きとおす

2.逆らえないのは?

 城ヶ崎は眼光鋭く、口元はこれ以上ないほどの笑みを浮かべつつ、優羽の方に近づいてきた。
 端正な顔立ちの城ヶ崎の笑顔である。破壊力は抜群だ。

 さすがに優羽も動けなくなり、城ヶ崎に釘付けになってしまう。
「ここ、吉野の勤め先だよな?」
 と城ヶ崎はビルを指さす。優羽はこくこくっと頷いた。

「ふぅん? 一流企業だな」
「あ……うん、そうかな」
 なんだろう、いやな予感しかしない。

「吉野、この前のこと覚えてる?」
「あの……私その、記憶がなくて……」
「熱い夜を過ごしたことか?」
 会社の前なのよ。止めてほしい!

「じ、城ヶ崎くんっ! 用件を教えてっ!」
 真っ赤になってしまった優羽を堪能するかのように城ヶ崎はじっと優羽を見ていた。少し居心地が悪くなり始めた頃だ。
 城ヶ崎はものすごく悪い顔をしてにやっと笑った。優羽はぞくんとする。

「まあその夜のことはおいおいな。……じゃなくて、朝のことだ」
「あさ……?」
 もう一回しようと迫られて逃げたことは覚えている。もう一回云々はともかくとして、酔ってしまった優羽を親切にホテルまで運んでくれたことには間違いはない。
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