俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 優羽はマグカップを用意して、電気ポットのスイッチを入れる。常備している紙ドリップのコーヒーの袋を開けた。
 それをマグカップにセットする。そしてお湯を注ぐ頃には気持ちは落ち着いていた。

 すっかり着替えた城ヶ崎がキッチンの前に姿を現す。スーツ姿の城ヶ崎は先程までの甘さは嘘のように消えてしまっていて、近寄りがたいようなシャープさを身にまとっていた。

「いい香りだな」
「コーヒー飲んでいく?」
 城ケ崎がスーツの腕を軽くまくり、腕時計をちらっと確認する。
「もらいたいが、時間がないな」

 優羽は目についた携帯用のマグにコーヒーを入れて、城ヶ崎に渡した。
「じゃあ、よかったら持って帰って。返すのは今度でいいから」
「ありがとう」

 余計なことかと思ったらとても素直に城ヶ崎が喜んだので、優羽も嬉しかった。玄関まで城ヶ崎を見送る。

「急に泊まったりして悪かったな」
「ん。いいの」
「また、週末な?」
「うん」
 何となく言葉が途切れないのは、お互いに離れがたいからかもしれない。
 城ヶ崎は優羽をぎゅっとハグして、軽くキスをする。
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