俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 綺麗に磨きあげられたグラスがライトに照らされて、キラキラと光っていた。その時のことを思い出しているのか、岡本は笑みを消してグラスを見つめている。

「顧問弁護士もあてにならず、本当にもうダメだと思った。俺さ、他社にいたんだよ。跡を継ぐ気はなかったから。そうしたら昂希にこのホテルが無くなっていいのか!? って強く聞かれたんだ。その瞬間嫌だ! って思った。やっぱり大事だったから」

 初めて聞くエピソードに優羽も胸をどきどきさせながら頷いて話を聞く。
「それから祖父を口説き落として、昂希は相手方と戦ってくれた。前から敵にしたくないとは思っていたけど、味方になってくれたらこれほど心強い奴はいないって思ったよ」
「そうだったの……」

 最初こそ脅されるという始まりだったけれど、やはり本来の城ヶ崎は信頼に足る人だったと改めて知ることができた優羽だ。
 だからこそあの時は、それほどまでに優羽を手に入れたくてそれほどまでになりふり構っていなかったことも改めて知る。

「昂希には幸せになってほしい」
 その岡本の言葉に優羽はどう返していいか分からなかった。もう今は迷ってはいない。城ヶ崎のことを好きだ。

 けれど、幸せにと言われて果たして今の自分でいいんだろうかと戸惑う。
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