俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 ハンドルにもたれて、子供のように言う城ヶ崎がなんだか可愛らしかった。
 そんな城ヶ崎を優羽はそっと撫でる。

「すぐ、会えるよ」
「うん」
 身体を起こして、城ヶ崎は助手席にいる優羽を抱きしめる。

「また……な」
「うん、またね」
「これ以上一緒にいたら名残惜しくなるだけだ」
 苦笑して、軽くキスをして城ヶ崎は優羽を離した。



(確かに、確かにまた会えるとは言ったけども)
 姫宮商事ビルのロビーにいる城ヶ崎を見て、優羽が言葉をなくしてしまっても仕方ないのではないだろうか。

 城ヶ崎は優羽も知っている何人かの役員と一緒に受付にいた。
 ロビーにいる女性達はチラチラとその姿を目に入れているし、中にはあからさまにかっこいい、などと称賛する声も聞こえる。その整った顔だちと胸に光るバッジはかなりの存在感だ。

 役員がよろしくお願いしますと言うのに、城ヶ崎は承知しましたと鷹揚な笑顔を向けている。
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