俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 優羽はそのバッジに目が釘付けになってしまった。
 それは彼に勝てるなんて思わないけれど……思わないけれど、抵抗しても絶対無理だ。こんな立場ならなおさら、勝てる訳がない!

「ああ、付けっぱなしだったか」
 席についた城ヶ崎はそのバッジを外して、ケースに入れ、バッグにしまっている。

 優羽はそんな動作をついじっと見つめてしまった。
 城ヶ崎も優羽の視線に気づいたようだ。

「そう。弁護士」
 その笑顔、絶対正義の味方じゃない。
 悪徳弁護士じゃないのー!?
 


 ギャルソンからワインリストを受け取った城ヶ崎は優羽に尋ねる。
「吉野、辛口は苦手なんだっけ?」
 この前ちょっと話しただけのことを、城ヶ崎は覚えているようだ。

「うん。あまり辛いのは苦手なの。お酒に強いわけではないから」
「なるほど。それでこの前はあんなに酔ってしまったわけか」

 実際にその通りなので返す言葉はない。
「では、甘口のスパークリングか何かにするか」
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