俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 城ヶ崎がテーブル越しに優羽の手を握る。
 優羽はどきんとしてしまった。
「俺は、俺の大事な優羽が会社でも大事にされてて嬉しいよ」
 握った手を口元に持っていって優羽のほっそりとした指先に城ヶ崎がそっと口付ける。

「つらかった?」
 城ヶ崎のその質問に優羽は横に首を振った。
「残念だな……とは思ったよ。気づかなかった自分も悪かったから」

 優羽を見て城ヶ崎は口を開く。
「不貞をするやつは自分が本当に心から反省しなければ、何度も同じことをする。不貞に限らず犯罪なんかもそうなんだが。いけないと分かっていても、バレなければ大丈夫だと思って、心の中のハードルはどんどん低くなっていく。必ず露見するのにな」
「うん。それは分かる気もするな」

 総務にいれば、会社内の内情を目にする機会も多い。中にはどうして、ここまでしてしまったんだろう?ということを目にすることもあるのだ。
 それはきっと城ヶ崎が言うように心の中のハードルが低くなってしまう、ということなのだろう。
 優羽はとても納得した。

「そうか、分かるか。では優羽が悪くないということも分かるな?」
「え?」
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