俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 はぁ……と軽いため息のような音が受話器から漏れてくる。
『このタイミングで声が聞きたいとか、俺は今すぐ優羽に会いたくなるんだが』

 城ヶ崎の声に含まれる甘さに優羽はどきどきしてしまう。
「会っても、いいけど……」

『今すぐ行きたい。明日の早朝の打ち合わせがなければな』
「そっか」
 会いたいと言われて、優羽にしては一生懸命お誘いに応えたつもりだったのだが、仕事なのでは仕方ない。

『なんか奇跡みたいだ』
「奇跡?」
『俺の気持ちに優羽が応えてくれることが』

「私もなんか、昂希くんのことは安心できる。そうやっていつも気持ちを伝えてくれたり、昔から知っているっていうのもあるし、護ってくれると言ったら実行しそうだし」

『するよ。何でも言えよ?』
「今は何もないよ」
 優羽の彼氏は少し心配性のようだ。くすくすと笑って答えた。

『具体的には守秘義務もあるから言えないが、優羽の会社の新規の案件に関わることになったんだ。先方との契約締結まではちょくちょく顔を出すことになると思う。タイミングが合えばまた食事に行ったりしよう』
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