俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「うん! あ、でも今度は事前に言ってね? びっくりしちゃうから」

 その時ふっ……と電話越しに笑い声が聞こえた。
『驚かせたかったからな。ただ事前に必ずしも伝えられるとは限らないが、今週ももう一回くらい行くと思う。昼過ぎだから、ランチを一緒したりは出来ないが。ああ、時間を遅めにしてもらって一緒に帰れるようにしてもいいな』

「そういうのしたことないからどきどきする」
『初めての経験か?』
「うん」
『俺もオフィスラブっぽいものは確かに初めてだな。なんかちょっと楽しみになってきた』
 本当にわくわくしているようで、優羽は笑ってしまった。


 優羽が勤めている姫宮商事は、駅からワンブロックのところに姫宮商事ビルとして自社ビルを構えている。

 その二階には専用のエレベーターを有した来客用のスペースがある。
 通常のミーティングスペースとは異なるもので、会社に来る海外の方や、お客様が他社の役員の場合に使用されたりする。一つ一つの部屋がしっかり防音されているため役員同士の会話も他に漏れることがない。
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